M&A支援

M&Aに関係するDCF法

 収益資産の価値を評価する方法の一つ。 企業で将来的に生み出される見込みのフリーキャッシュフローを割り引いて算出した現在価値のこと。 企業M&Aの際の取引価格の算定をはじめ、銀行の融資先資産判定や債権引当の算定、株式や不動産の価格評価など、投資プロジェクトの価値算出の際に幅広く用いられている。  この方法で評価する場合、フリーキャッシュフローを割り引く際の割引率の設定によって結果が大きく異なるため、客観的で妥当な割引率を算出することが重要。  企業価値評価において将来計画を含めた価値把握のため1980年代後半よりしだいに使われはじめ、不動産鑑定においては2002年の不動産鑑定基準の改定の際の正式にDCF方が採用されるようになった。 欧米型の資本市場の規律が定着しつつも、従来、日本企業が大切にしてきた 「日本的経営」の良さも見失うべきではない。 M&Aにおいても「人」が中心の「新しい日本型M&A」が求められている。 M&Aに関する経営者の課題は「のれん代の償却負担」という形でM&A成立後に生じる。 また、何よりシナジーを実現化するために「人・組織の融合」をスムーズに進められるかがM&A後の最大の課題であり成功へのカギでもある。 M&Aは4つのフェーズに大別される。 各フェーズでのM&Aファームのサービス内容や得意分野を把握しておくことが、効果的な案件推進にとって不可欠である。 M&Aは企業経営戦略として定着してきた。 最近の事例は、資本市場のFX・ルールが有効に機能する本格的M&A市場の到来を感じさせる。 企業のM&A件数は、1996年頃から急増し、2006年までの約10年間で約5倍となった(図1参照)。それ以前は、1990年前後のバブル期に海外不動産投資のための「財テクM&A」が盛り上がったこともあるが、基本的にはM&Aは経営手法としては定着しておらず、事業承継等でやむを得ない場合などを除いては、事業売却への抵抗感が強い時代であった。 1996年頃からM&A件数が急増し始めたのは、金融ビッグバン宣言以降の構造改革・自由化、デフレ経済下の不良債権処理という厳しい環境のもとで、生き残りと成長を目指すためには、自前主義のみでは困難であり、コア事業強化のための「買収」とノンコア事業の「売却」、すなわち、グループ外との経営資源のやりとりであるM&A手法が不可欠となったからである。特に、大企業は、「選択と集中」・「リストラ」をキーワードとして、グループ内の事業ポートフォリオを見直し、経営戦略上の位置付けを明確にして、グループを超えたM&Aを決断・推進してきた。 このようにM&Aは企業の経営戦略実現化のための手法として確実に定着してきたが、件数的には、2006年、2007年と2年連続で横ばいとなり、踊り場的状況となっている。しかし、内容的には、戦略的M&Aが増加し、市場での経営権争奪戦が行われるなど、本格的M&A時代の到来を感じさせるようないくつかの質的変化が見受けられる。 以下では、マールM&A情報を活用しながら、わが国企業の最近のM&A動向を見てみたい。 M&A件数は過去3年、2700件前後の高水準で推移しているが、そのうち国内企業同士のM&A(In-In)が約75%を占めており、M&A市場のFX 取引となっている。最近の質的変化としては、人・設備・借金の三つの過剰を克服し、強靭となったわが国企業が「再生・リストラのM&A」を脱却し、「戦略的な攻めのM&A」に転じている点が指摘される。「選択と集中」戦略についても、ノンコア周辺事業やグループ内再編のステージが一段落し、中核上場子会社レベルの再編や戦略的売却へとディールの大型化の傾向が見られる。 さらに、国内の大型業界再編も目立ってきている。王子製紙による北越製紙へのTOBは、わが国の伝統的大企業が市場提案型の敵対的行動をとったことで大きな注目を集めたが、その背景にある人口減少や少子高齢化等に伴う国内市場成熟化に対する危機感にこそ注目すべきだろう。この事例は成立を見なかったが、その後、マルハグループ本社とニチロやHOYAとペンタックスの経営統合、田辺製薬と三菱ウェルファーマの合併、キリンホールディングスによる協和発酵工業の買収、伊勢丹・三越、大丸・松坂屋ホールディングス、阪急百貨店・阪神百貨店といった大手老舗百貨店同士の統合などが相次いだ。これまでM&Aが起こり難かった業界や組み合わせでの大型統合であり、強い危機感と業界再編による集約化への強いエネルギーを感じさせる。 また、こうした環境下で企業が成長戦略を実現するためには、クロスボーダーのM&A戦略が不可欠である。2006年は、JTの英ガラハー、日本板硝子の英ピルキントン、東芝の米ウエスチングハウス、ダイキン工業によるマレーシアのOLYインダストリーズの買収など、グローバル競争でのトップシェアを目指した戦略的大型買収が相次ぎ、In-Out(国内企業による海外企業へのM&A)の金額は約8兆4000億円に達した。2007年のエーザイの米MGIファーマ、キリンホールディングスの豪ナショナルフーズ、オリンパスの英ジャイラスの買収などに引き続き、2008年は、武田薬品工業の米ミレニアム・ファーマシューティカルズ、第一三共のランバクシー・ラボラトリーズ(インド)の買収、丸紅、伊藤忠商事などによる資源開発への投資など、大型のIn-Out案件が目立ち、上半期ですでに約2兆6000億円に達している。 「クロスボーダーM&Aサービス」についてはこちらへ TOB件数は2007年に100件を超えた。(図2参照)。こうした上場会社対象のTOBの増加は、上場会社の本業レベルの業界再編や中核上場子会社の戦略的売却など、大型で戦略的なM&Aが増えてきたことを示している。2006年のキリンビールによる味の素傘下のメルシャン、SUMCOによるコマツ傘下のコマツ電子金属(シリコンウエハー)の買収、2007年のJTによる加ト吉、HOYAによるペンタックスの買収などが、大型案件として挙げられる。 王子製紙のFXのような市場型提案も増える可能性がある。フタタを巡るAOKIホールディングスとコナカの争奪戦も同様だが、国内業界再編における組合せの選択肢は限られ、対象会社の経営者の賛同はなくとも、戦略的提案や対抗TOBなどで株主(市場)に直接問うこともやむを得ないというケースが十分想定されるからだ。 テーオーシーのMBOによる非公開化の事例では、大株主のダヴィンチ・アドバイザーズが、TOB価格が低すぎるとして、より高い買付価格での対抗TOBを提案したためMBOは失敗に終わった。また、大阪製鉄と東京鋼鉄のケースのように、大株主の投資ファンドが交換比率に異議を唱え、株主総会での承認が得られずにM&Aが不成立となる事例も出てきた。たとえ当事者同士が合意した友好的M&Aであっても、特定の株主や資本市場の納得が得られない場合には成立が困難となる場合がある。市場型M&Aの世界では当然のこととはいえ、それが現実のものとなったことのインパクトは大きい。投資会社のみではなく、ドラッグストアや家電量販店業界などでは、事業会社による対抗的動きの事例も見られ、M&A取引における第三者の介入や資本市場への説明責任を十分に念頭に置いたM&Aプロセスがより重要となってきている。